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コンサルタント(企業年金) 今村 義幸

OB社員のためだけに残された確定給付型年金。
“時間とともに減少する資産”を
安定的・効率的に運用する手法とは何か。

今村 義幸 Yoshiyuki Imamura

投資運用コンサルティング部
法学部卒業

「閉鎖型確定給付年金制度」への移行にともなう年金資産の運用見直し

X社は年金制度の変更を行った。従来の、退職後に受け取る年金の給付額を約束した確定給付型年金制度(DB)から、従業員個々人の運用成績に応じて受取額が変わる確定拠出型年金制度(DC)に変えるというものだ。しかし、すでに退職したOB社員については、引き続き確定給付型の制度が適用されることになった。つまり、OB社員の年金資産については引き続きX社が運用し、支払い原資として確保する必要があった。資金の追加はなく、支払いとともに減少していくこの資産をいかに適切に運用するか ── 新たな提案が求められた。

支払いを終えた時点で役割を終え消滅する年金制度。
今までにないスタイルの資産運用をどう進めるか。

コンサルタント(企業年金) 今村 義幸

現役社員の年金制度は確定拠出型へと変更するが、確定給付型年金の受給権がある退職者については制度を残す ── これを「閉鎖型確定給付年金制度(閉鎖型DB)」と呼ぶ。会社が資産を運用しながら、年金の支払いを行っていくことに変わりはないが、新規に加入する社員はなく、したがって新たに資金が投入されることもない。OB社員に支払いを重ねることで、時間とともに年金資産が減少していくというのが、この「閉鎖型DB」の大きな特徴である。

すでに制度設計の時点で、どの程度の年金資産をどのくらいの利回りで運用すればOB社員への支払いを安定的に行うことができるか、その大きな“見取り図”はできていた。それによれば、求められる利回りは2.0%。私の任務は、新制度移行までの1年足らずの期間内に、この2.0%を将来にわたって確実に実現する最適な運用プランを考え、提案することだった。

一度資産を減らしたら、取り戻すのは容易ではない。
しかし安定一本槍では原資が確保できない。どうするか?

コンサルタント(企業年金) 今村 義幸

運用コンサルタントとして私は当時6年の経験をもっていたが、「閉鎖型DB」への移行にともなう運用の検討は初めてだった。みずほ総研内にもノウハウの蓄積は多くはない。それにしても、低金利が続く金融情勢のもと、確実に2.0%の利回りを確保するのは簡単ではない。しかもそれを、年々規模を縮小していく資産で実現する必要がある。どの運用商品から取り崩すのがよいか、通常の年金運用では考慮に入らないことも検討しなければならなかった。

さらに問題は、かつての「リーマンショック」のような局面に遭遇して、想定を大幅に超えた運用のマイナスが発生した場合、規模が減少していく一方の資産で、それを取り戻すのは容易ではないということだ。加えて、企業会計上の問題にも配慮が必要になる。年金の支払い額は債務として計上される。それは積み立てた年金資産でバランスが取られていくが、運用状況によって必要額を下回ることがあれば、負債を増やし、赤字決算を生む可能性もある。ここでも慎重な運用が求められていた。

走らせたシミュレーションは1万本近い。
先行の知見のない世界で、諦めずに考え抜く。

コンサルタント(企業年金) 今村 義幸

私はまず、安定的に利回りを確保するものと、積極的に収益を確保するものとに年金資産を分け、債券や株式、さらにこれらとは対照的な値動きをし、時価変動にさらされにくいオルタナティブ商品をピックアップして、その間の投資配分を詳細に検討していった。一定の商品構成をつくり、シミュレーションをコンピュータ上で走らせる。確定できない要素が非常に多く、シミュレーションは数千から1万通りを超えた。先行の知見がないなか、ひたすら考え抜くという忍耐のいる努力を1年間続けることが必要だった。ようやく私が得た結論は、運用方針として受け入れられた。すでに動き始めて半年が経過したが、ほぼ予想した結果が得られている。

「閉鎖型DB」への移行は、今後も多くの企業で採用されていくだろう。その意味でも、新たなコンサルティング事例を蓄積できたことの価値は大きかったと思っている。世界的な金融緩和局面からの転換点という誰も経験してこなかった市場環境のもと、年金運用にとっては難しい局面が続く。そうしたなかでも適切なアドバイスが行えるコンサルタントへと、さらに成長していきたい。

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