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研究員(PPP/PFI、公共アドバイザリー) 菊地 亮太

公有地を活用し、アリーナを核にした
複合開発を進めたいという自治体の要望に応え、
需要予測を通して事業化への道を拓く。

菊地 亮太 Ryota Kikuchi

社会・公共アドバイザリー部
総合理工学研究科修了

公有地にアリーナを建設し有効活用したい。事業として成立するか。

収容人数が1万人を超えるアリーナには、スポーツイベントやコンサートだけでなく、大規模なセミナーや学会、国際会議、展示会場などとしてのニーズがある。しかしその数は決して十分とは言えない。ある地方都市は、広大な公有地の有効活用策として、民間資金を導入した大型アリーナの検討を始めた。PPP(Public Private Partnership、官民連携事業)の基礎調査や計画立案に多くの実績をもつみずほ総研に、その事業性に関する相談が持ち込まれた。

地域活性化の拠点としても期待が高まるアリーナ
チームを編成し、調査を開始した。

研究員(PPP/PFI、公共アドバイザリー) 菊地 亮太

大規模なアリーナは今話題の施設だ。国も官民連携によるスタジアム・アリーナ整備を推進するため「スタジアム・アリーナ官民連携協議会」を設け、議論を進めている。スポーツ庁や経済産業省からは「ビジネス、地域活性化など多様な機能を有するサステナブルな交流拠点としてスタジアム・アリーナが各地に整備されることを期待したい」というメッセージも発信された。みずほ総研でもすでに複数の案件を担当している。そこに新たに舞い込んだ、ある地方都市からの調査依頼である。現在、公園と駐車場として利用している公有地を活用し、1万人規模のアリーナを核に商業施設とホテルを含めた複合開発の実現可能性について検討してほしいというものだった。チームが編成され、私もそのメンバーの1人となった。私はまだ社歴は浅いが、アリーナ事業については別案件での経験もある。このチームでも、アリーナの需要予測と収支のシミュレーションという事業の核になる部分を担当することになった。

実施例の少ないアリーナの需要予測。新たな利用の可能性も考慮し
一つひとつ丁寧に根拠を積み上げていく。

研究員(PPP/PFI、公共アドバイザリー) 菊地 亮太

与えられた検討期間は短く、特に、核となるアリーナの事業性については、3カ月後に設定された最初の中間報告で一定の結論を得たいという。他のチームメンバーは、商業施設やホテルに関する検討や収支予測、都心部からのアクセスに関する分析・検討、さらにその都市の人口動態や産業動向などの背景分析にまわり、私は需要予測と収支シミュレーションに専念した。
実は、アリーナの需要予測は難しい。そもそも今回は新設である。参考にできる過去のデータはない。さらに、単なる音楽ホールやスポーツ施設であれば簡単なのだが、アリーナは国際会議や学会・展示会、さらには今話題のeスポーツの競技会場としても利用が増えると見込まれている。こうした需要がどう推移していくのか、改めて市場調査をしなければならない。広告代理店やプロモーターからヒアリングし、また、eスポーツについては経済調査部に出向いてアミューズメントの動向に詳しい同僚や先輩の話を聞いた。さらにアリーナ先進国といわれる米国での利用事例なども参考にしながら、需要予測を進めた。言うまでもなく、公共の事業である以上、すべての予測には明確な根拠が要る。使用料金がいくらの利用が年間で何日あり、観客数はどれほどか。仮説を立て、収容人数も1万人から2万人まで、いくつかのパターンを想定しながら、収支シミュレーションを作っていった。

官民の橋渡しをしながら、新たなアリーナ建設を通して
地方都市の活性化に貢献したい。

研究員(PPP/PFI、公共アドバイザリー) 菊地 亮太

周辺に類似の施設はなく、今後のアリーナ利用の拡大も想定できることから、シミュレーションの結果はどのパターンでも良好だった。最も悲観的なシナリオも用意したが、それでも一定の事業性は確保できる。この数字なら「民設民営」という、公費をまったく投入せずとも事業化できる可能性もある。今後の議論で、事業スキームやファイナンスの具体的な形をさらに詰めていくことになる。場合によっては、施設完成後の運営について「コンセッション方式」と呼ばれる施設の所有権を公共が有したまま、運営権を民間事業者に設定するという方式の検討も必要だろう。残された期間は、こうした事業形式や運営方式の検討に充て、民間事業者の参入に明確な道筋をつけていくことになる。やがてアリーナが整備され、従来その都市では開催できなかった大規模なイベントが可能になり、それによって新しいライフスタイルや文化が花開くかもしれない。公共の側に立ちながらも、民間の視点で事業化を検討し、官民を橋渡ししながら実現へと導いていく――そこに社会・公共アドバイザリーの仕事の醍醐味がある。

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