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コンサルタント(経営戦略) 松本 剛司

理想の姿を実現するために
求められているものは何か。
戦略を示すだけでなく
社員のマインドから変えていく。

松本 剛司 Takashi Matsumoto

経営コンサルティング部
社会学研究科修了

経営者が目指す業務改善と事業承継の準備を会社全体で推進する

倉庫業を経営する中堅企業のオーナーからの依頼だった。創業から約50年、事業は順調に拡大し、現在は複数の営業所も所有。社員数も多くなり、会社全体が見通しにくくなっているだけでなく、意思決定や業務プロセスにも非効率な部分が目立っていた。社長は50歳代と若いが、将来の事業承継も見据え、ここでいったん業務全体を洗い直し、社内管理体制も改めて確立したいという意向だった。ただし、全社でこの意思が共有されているわけではない。プロジェクトはまず課題認識の共有から始まった。

勘や経験に頼った倉庫管理。
非効率的な業務習慣が続いていた。

コンサルタント(経営戦略) 松本 剛司

私が今回担当した企業のビジネスモデルは、荷主から物を預かり、適切な管理を行い、効率よく入出庫をし、顧客の要請に応じてラベル貼り等の付帯作業を行うというもので、それほど複雑ではない。しかし、それだけに業務の効率化や改善に意識が及びにくく、旧態依然の業務フローが残りがちだ。実際、このお客さまもそうだった。部門別にヒアリングを重ねると、すぐにそれが見えてきた。例えば、管理部門ではシステム部が管理している倉庫管理システム上に入っている情報を一度印刷し、それを手打ちで経理部が所管する会計システムに転記していた。また、営業部門では、何がどこに保管されているかという情報の精度が低く、実際の空き状況が見えにくいことに加え、どの荷物がどれだけの収益を上げているかという細部も把握できていなかった。非効率的な業務の改善、保管状況の可視化など課題はすぐに見えてきた。しかし、その取り組みの前にしなければならないことがあった。

コンサルタントと社員の皆さんの意識を
いかに近づけ、一体のものにするか。

コンサルタント(経営戦略) 松本 剛司

経営コンサルタントの仕事は、きれいな戦略を描き、整った業務フローを示すことではない。もちろんそれも必要だが、戦略や新たな業務の担い手として社員の皆さんが登場してこなければ意味がない。会社が変わることこそが目標なのだと私は思っている。

私たちがまず着手したのは、社員の皆さんの中に、私たちと一緒に改革に取り組むというマインドセットを確立することだった。外部から招聘される経営コンサルタントは歓迎されないことがある。外部の人間に何が分かるのか──この会社のお客さまも、創業時からの社員の方が幹部として残り、自分たちが育ててきた会社であるという強い自負があった。また社員の皆さんにすれば、コンサルが入ることによって仕事が取られる、あるいは不慣れな仕事に就くことになるという不安が拭えない。

私たちはまず現場に入り、膝詰めで一緒に業務を見直していった。システム部門では、例えばこうすれば、従来は3日かかった作業が1日ででき、かつミスも大幅に減るということを示した。営業部門では、倉庫に入っているものを可視化し、さらに品目別の収益状況が明確につかめるようにした。こうすれば営業戦略が立てやすくなり、収益性の向上も図れる。「確かにそうだ」という現場での納得の積み重ねが私たちへの信頼になり、社員の皆さん自身が取り組んでいこうという内発的な意欲を醸成していった。

「部分最適」しか語らなかった人が「全体最適」を意識し、
お客さま自身が目標に向かって歩み始めた。

コンサルタント(経営戦略) 松本 剛司

新たな在庫管理システムや業務改善の成果が出始めたころに、私たちは将来、この会社の経営を担う部課長十数名で、幹部候補生の会議体を設け、毎月定例会議をもつことにした。「そこはこうしたらいいのではないか」──。回を重ねるごとに自分のもち場や部門を超えた積極的な発言も出るようになった。部門代表として「部分最適」しか語らなかった人が、「全体最適」を考えるようになっていったのだ。

すでにこの企業とは7年越しのお付き合いになる。当初2年ほどはチームで関わったが、3年目からは私一人が毎月の幹部会議に出席している。業務フローの改善や新たな倉庫管理システムの導入、管理会計の確立など、大きな成果も出ている。なにより嬉しいのは、幹部社員をはじめとする社員の皆さんが、会社の将来を真剣に考え、それに向かって歩き始めているということだ。かつては「経営はオーナーがするもの」という意識だった社員の皆さんが、「会社の方向を決めるのは自分たち」であり、社長には最終決裁だけをしてもらえばよいという意識に変わっている。社長からも「社員の目つきが変わった。事業承継もうまく進められそうだ」という声をいただいている。これこそ、私たちが求めている経営コンサルティングの"成果"である。お客さまに伴走し続け、フィニッシュラインの少し手前で私たちは離れる。ゴールのテープを切るのはお客さま自身だ。間もなくその時が来る。

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